リゼアン無人島生活:さしま

二次創作だよ The Forestの配信をベースに読んでね

その朝、アンジュ・カトリーナがキャンプで目を覚ましたとき、空はまだ暗く太陽は出ていなかった。ウミガメが浜に上がっているかもしれない。隣で寝息を立てているリゼ、彼女を起こさないようにそっと毛布からでる。10年来の友人だけど、隣で寝ているのはまだ慣れない。 アンジュは朝食を用意するため海岸へ向かった。

アンジュとリゼは今、無人島にいる。2人で日本の東京にいる友達に会いにいこうと、飛行機に乗ったのだ。しかし飛行機は墜落し、2人だけが生き残った。ここへ来て1週間、もうすぐイカダを作って脱出できる。

「お、ウミガメだ……。えいっ!」 産卵のために海辺に上がってきたウミガメに、斧を振り下ろす。かわいそうだけど、仕方がない。ウミガメは肉がおいしく食べれるし、甲羅は雨水を貯めるのにも使える。無人島で遭難した男がウミガメのスープをレストランで食べてから自殺した話があった。あれはただの推理ゲームだったけど、私たちはいまこうして無人島でウミガメを食べようとしているのだ。

拾った無線機からガサガサ音が聞こえる。 「ちょっと!アンジュどこいってるの!?」 これは、怒ってるな。 「ご、ごめん……。海に行ってるわ。」 「もう、心配したー。早く帰ってきてよ。」 少し電波が悪いのか、声がすこしガサガサしている。 「あ、電波わるいかも」 「アリノー、ママノー、スガタミセルノーヨー」 「ロボットの声だしたいの?ケロケロ声にはなってないよ。」 無線機の電池が消耗してすこしもったいないけど、他愛ない会話で癒される。 無人島で1週間すごして分かったのは、リゼはしっかりしてる子だけど、ときどき年相応の子どもらしいとこもみせる。今年でアンジュは26歳、リゼは16歳。9つも歳が離れているから。

「カメ捕まえたから、一緒にたべよ。火は起こせたっけ?」 「もう、火くらい1人で起こせるよ。待ってて」 「うん。あれ……。」 リゼが何かに気が付いた様子。 「人!?ちょっと、人がこっち見てる!! 「え、ちょっと来ないで!!」 無線は途絶えそれ以上なにも聞こえなくなった。

アンジュが息を切らしてキャンプに戻ると、リゼの姿はすでにない。焚火のそばに無線機が落ちている。そしてなにより大量の足跡。 「この島、人間が棲んでたんだ……。」

何者かは分からないけど、リゼは彼らに連れ去られたのだ。ゆっくりしてはいられない。リゼを助けないと。アンジュは荷物をまとめ、人間の足跡を追って歩き出す。

小一時間ほど足跡をつけていると、森の中の洞窟に着いた。足跡は4人くらいだが、リゼの足跡はない。担がれて運ばれているのかもしれない。 「うぅ、この洞窟に入るのかぁ。」 森の中の洞窟は墨で塗りつぶしたように暗い。本能的な恐怖心が沸き起こる。この何も見えない闇の中に入っていくなんて。

「リゼ、待ってってね」 意を決して洞窟へ足を踏み入れた。右手には斧、左手にライター。この灯だけがアンジュの周り2メートルを照らしてくれる。

しばらく狭い穴の中を壁伝いに歩いていると、突然自分の足音が反響した。広い空間に出たのだ。 パキパキッ、足を踏み出すと何かを踏みつける音がした。見ると下には骨が。

墜落事故で死んだ人たちの死体がここに運ばれ、食べられていたのだ。不時着したヘリコプター、海岸で見た難破したヨットを見た。この無人島に流れ着いた人間がこの洞窟に連れてこられ、犠牲になっていたのだ。

アンジュはもう進めないと思ったが、数メートル先に人が倒れているのを見た。あれはリゼだ。無我夢中で駆け寄る。 「」 「うん?アンジュ」 「よかった、生きてた。」 「助けに来てくれたんだね、ありがとう」 「当たり前じゃん、えへへ」 照れて頭をぼりぼり、なよなよ体をくねらすアンジュを見て苦笑するリゼ。 「アンジュ、うしろ……。」

ライターの薄明りの向こう、裸の人間が立っている。1人だけじゃない4人、10人? いや、それ以上だ。食人族に入口をふさがれている。

「アンジュ、どうしよう」 「こういうこともあろうかとっ、ダイナマイトを持ってきたんだ!」 「ちょっと!洞窟でそんなの使ったら私たちも死んじゃうよ」 「あっ、そっかー……。じゃあ、これでどう?」 バックの中からリゼのチェーンソーを出す。キャンプに落ちていたのだ。

「わぁっ、これが欲しかったの」 ドゥルン、ドゥルン。リゼが力いっぱいチェーンソーの紐を引っ張る。 リゼは初めてチェーンソーを拾った時から、リコイルスターターの発動をミスることない。 「よし、じゃあいくか!」

走りだす2人。リゼが振るったチェーンソーが、食人族の女がガードした腕を切断して落とす。 「ウラァー」 「いつもの、リゼじゃない……」

そう言ったアンジュも、向かってくる食人族へ横から斧を振る。当たった斧が男の頬の肉を断ち、歯を吹き飛ばした。 このまま出口まで走っていこう。2人は蛮族を蹴散らしながら、もと来た道を駆ける。

洞窟の外に出てもしばらく気が付かなかった。日が暮れていてあたりは真っ暗だったからだ。必死で走ってきた2人の肺を清涼な空気が満たす。空を見上げると、月は出ておらず星が瞬いている。 大変な一日だった。 「もうイカダでお家に帰えろっか」 「ええー、もうちょっと島で遊んでこうよ」 「リゼぇ、帰ろうよー」

「ところでこの腕どうしよう」 リゼがチェーンソーで切った腕を、勢いで拾ってきてしまったのだ。 「え、食べる?」 2人は顔を見合わせてそのままキャンプに帰っていった。

https://note.com/vclwoktnzr/n/n153f36cd9e58 https://youtu.be/My2i5RPGl9c

https://www.hayakawa-online.co.jp/product/books/20861.html

https://youtu.be/Y8Ke7qhccuc https://youtu.be/nQtWBEsQWLI https://youtu.be/H2LNaSSO0vE


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